彼は若いのに、シブイ曲好みで、演奏スタイルもオーソドックスな方。
で、その彼が、「先日、ジャムセッションで同い年のピアノと一緒だったんですけど、○○(という曲)を知らないんですよ」
その曲が、まあ僕らの世代だったら当然メモってるものの、あまりモダン・ジャズのインストで取り上げられる機会はなく、夜の銀座や赤坂的な匂いのする、ジャズというよりはもっと広義のアメリカン・スタンダード・ソングであった、と。まわりくどいか。
まあ、彼にしてみれば、これぐらいの曲は、知っているべきだ、と思ったのかもしれませんが。
僕「うーん、まあ、仕方ないんじゃない。俺らの頃は盛り場のピアノ・バーとかで仕事してたら、自然に覚えたけどね〜。最近、そういう店、少ないモンねえ。普通にインストのライブとかばっかやってたら、知らないでしょ、そんな曲」
「そんなもんですかねえ」
などと言いつつ、楽器に向かいまして、ヴォーカルが「この曲、ボレロでお願いします」
すると、彼はなにやら水戸黄門のテーマみたいなリズムを弾きだしました。
僕「ちょ、ちょい待ち。君、ラテンのボレロって、知らないの?」
昔のキャバレーバンドなんかやった事あるなら常識なんですが、、ボレロと言ったらゆっくりしたラテンのリズム。ラベルのボレロとは、あんまり関係ありません。
でもさあ、いわゆるキャバレー(ちゃんとバンドの入った)なんて、ピアノ・バー以上に絶滅危惧種だもんね。キャバレーの常識なんて、今のコに言ったって仕方ありません。
僕「な。知らないのは、罪じゃないって」
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